忘れ物を探すために

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ゆったり、まったり、日々をふりかえる

少女終末旅行 最終回 ~絶望と仲良く~

少女終末旅行原作最終回、読みました。

アニメで気に入り原作を全巻購入、熟読しながらこの日を待った。

ネタばれ感想なのでご注意くださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最上階に何もないという展開は想像通りでした。

なぜならこれが2人にとっての「絶望」だから。

 

この世界では登場する人間が持つ希望を奪い等しく絶望を与えます。

地図を書くことを生き甲斐にしていたカナザワからは地図を奪い、

飛行機で隣街へ飛ぶことを夢見たイシイにはその翼をもぎ取る。

だから、チトとユーリの希望であった最上階は「無」でなければいけないのだ。

ここで「実は最上階には人間が沢山住んでいてチトとユーリは幸せに過ごしましたとさ」ということは絶対に許されない。そういう世界だから。

 

 

生きる原動力を「希望」と呼ぶなら、「絶望」はその対極。本来絶望など無い方がいいに決まっている。

 

 

でも、登場人物は皆「絶望と仲良く」なる。

希望がなくなったって、「希望が無くなった今」そのものを否定しない。

「あーあ、残念だけどしょうがないや」と前を向く。

 

 

そして希望がなくなって初めて、自分の本当の想いが分かるのだ。

地図をなくしたことで、地図を書いていた時間、連れといた時間そのものが尊いものだったと気付くのだ。

飛行機を失ったことで、夢に向かっていた日々そのものが幸せだったと気付くのだ。

生きる道も進む道も全て閉ざされたことで、2人で旅して生きてきたことがただただ最高だったと気付くのだ。

 

だから、2人の旅はここで終わりであっても決して不幸じゃない。絶望と仲良くなったんだから。

切ないけど、この物語はハッピーエンドだったんだって自分の心に刻みつけたい。

 

・・・本当に切ないけどね。

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特にこのカットがね。

あのユーリが「生きるのは最高だっ『た』よね・・・」と自分の行く末を確信しての一言。

なんて切なく、なんて幸せな一言なんだろう。

 

 

少女終末旅行

絶望的な話なのに、明るい。

明るさで満ちているのに、影がつきまとう。

そんな入れ子のような作品でした。

 

こんな作品に出会えたことが、ただただ幸せです。

 

少女終末旅行 6 【限定版 】 (BUNCH COMICS)

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